2010年12月26日日曜日

自宅からの富士



(夕焼けの富士)
(イタリアエトナ火山)

  今年もあとわずかとなった。年末恒例の日本フィルの第九交響曲を聴きに午後から東京に出かけた。東京自宅まで車で行き、そこに車を置き山手線で池袋に向かった。今年はいつもの六本木サントリーホールではなく久しぶりに池袋駅前の東京芸術劇場であった。

  指揮はいつものコバケンこと小林研一郎である。エネルギッシュな指揮は衰えていない。ヨーロッパ駐在日記/ベートベンの第九にも書いているがべートーベンの表現しようとしていたAlle Menschen werden Brueder.(人みな兄弟になる。)そのものを体感しつつ、今年の出来事を思い浮かべた。

  今年の出来事は何といっても6月から仕事を再開したことと、それにともない計画していた久しぶりのドイツ生活を断念したことである。5月から2~3ヶ月久しぶりに妻と共にドイツで生活する計画を立て飛行機の予約もとっていたが、出発1週間前に仕事の話が決まり結局私はドイツ行きを断念した。

  妻は出発前にすでにドイツの友達たちと色々な計画を立てており、妻一人で出かけることになった。今まで海外旅行は常に私と一緒であったことから出発前は不安で緊張していたそうだ。しかし、ドイツで友達に会ったとたん元気が出てすっかり楽しんでいた。それに加えて1週間遅れで長女も合流し、母娘での旅行となり親子の絆を深めたようだ。

  今はスカイプという便利な手段でいつでも、世界どこでもパソコンを通じてテレビ電話が出来、日本で留守番していても近くにいるようで海外に行っているとは思えない感じであった。妻が帰国後も娘はイタリア北部アルプスに近い山間に10日ほど滞在し帰国した。今回は行けなかったが今の仕事が一段落すればまたドイツでの生活も計画したいと考えている。

  このごろは天気のよい日、自宅から西空に富士山を見ることが出来る。さえぎるものがないため富士の全景が望める。イタリアシシリー島のエトナ山も高さは同じようなものであるが、山頂からの稜線はゆるやかで、富士のような角度のある稜線ではなく、富士の美しさをいつも認識させられる。

  今年も無事過ごせたことを感謝し、来年もこの恒例の第九交響曲を聴きに行けるよう願っている。

2010年12月5日日曜日

パラグライダー




夕方からつくば山系にある朝日峠展望台に出向いた。霞ヶ浦側からつくば山に向かう山腹ドライブウェーの中途にあり、霞ヶ浦を近くに見下ろせ、また遠くは関東平野が望めるつくば山系での絶景ポイントの一つである。

その展望台のあるところは芝生の台地になっており、パラグライダーを楽しんでいる人達がいた。順番に飛び上がり、うまくいかないときには再度やり直し、風とのタイミング次第なのか、その人の腕なのか。浮き上がりに成功すると自由に天空散歩を楽しんでいた。

ところでこの翼を近くで見るとリップストップの織物である。長い間勤めた会社の製品である商品「パワーリップ」であることはすぐに判断がついた。この素材、世界的に先駆けて開発したもので、薄くて軽く、しかも高強力で引き裂きにも強いという厳しい条件を満足させることにより商品として使えるようになったものである。

このために高重合度の細いポリエステル繊維を開発、さらに薄くても引き裂きにも強い布帛としてリップストップ構造を採用した。耐候性も上げるため特殊な化学加工技術も開発、それら技術の集大成で実行化できたものである。このような地道な開発のおかげで初めてこのスポーツも発展出来たという事実を、楽しんでいる人々をみて確認できた。
 
すでにポリエステル繊維産業は、大量生産が基本になる用途分野では中国などの新しい工業国に移転してしまったが、このようなニッチ分野では、まだまだ日本の技術が世界的に使われている。日本の生きる道は大量生産ではなく総合的な技術力が必要とされるニッチの分野ではないかと再度認識しつつ帰宅した。

このごろは午後5時前には日没となるが、夕方自宅からは赤い夕空に浮かび上がる雄大な富士山を見ることが出来る。本当にすぐ近くにあるような錯覚さえ覚える。この時期の楽しみの一つになっている。